Takanory Blog

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映画「メッセージ」の感想(ネタバレなし)

5月19日に公開された映画「メッセージ」(原題:Arrival)を観てきたので、その感想です。予告や公式サイト以上のネタバレなしです。

www.message-movie.jp

SFファンとしては、予告の「突如現れた謎の物体」だけで十分魅力的で、事前知識は何も入れずに見てきました。あ、正確には「物体の形がばかうけに似てる」という話だけ聞いてましたけど。


あらすじ(公式サイトより)

突如地上に降り立った、巨大な球体型宇宙船。謎の知的生命体と意志の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、“彼ら”が人類に<何>を伝えようとしているのかを探っていく。その謎を知ったルイーズを待ち受ける、美しくそして残酷な切なさを秘めた人類へのラストメッセージとは―。

地球に突然現れた12個の巨大な謎の物体。物体の中には7本足のタコ型生命体がいて、意思疎通はできそう。「ヘプタポッド」と名付けられた生命体が地球に来た目的を探るため、言語学者のルイーズに白羽の矢が立ち、あの手この手で会話を試みるというわけです。

この映画のおもしろさは、未知の相手とコミュニケーションを取っていく科学的なプロセスを見せてくれるところです。
現代では全く未知の言語というのはほぼなくなり、通訳や翻訳ツールを使えば、人間同士でまったく話ができないなんてことはありません。しかし、この映画の相手は未知の生命体。なにやら、唸り声のような鳴き声は聞こえるけど、全く何言ってるかわからん状態です。

プロセスはとてもリアリティがあって、科学的で、それ故に地道でもどかしいですが、ひとつ、またひとつとヘプタポッドの言葉の理解が進むたびに感動があります。最初はやや不気味さのあったヘプタポッドも、かわいいとさえ思えてきます。「自分の言葉が伝わった」「相手の意志が理解できた」というのは人間の理性的でありながら本能的な喜びなのかもしれません。

もうひとつ印象的なのは、人間は言語を使って物事を考える、それゆえ、その言語を話す者の考え方は言語に依存している、という「サピア=ウォーフの仮説」です。メタルギアソリッドVでスカルフェイスが似たようなことを言っていたのを思い出します。
ヘプタポッドの言語を理解し、その言語で思考することで、人類の科学観に大きなブレイクスルーをもたらすかも、というわけですが、果たして…。


ただ、ラストの展開は「えぇ…急にそんな解決方法なん……」で、個人的にはもったいない感じ。まぁ、伏線はずっと張られていて、まさかの予告編からミスリードが始まっていたというのは好きなんですが、SF的なツッコミどころも残るのはちょっと…。原作だと違ったりするんだろうか。

あなたの人生の物語

あなたの人生の物語

終わり方も消化不良気味というか、そう終わるのって感じのSF小説あるある。劇中の表現や考え方、科学的な背景について、あれこれ考えたり、誰かと語り合うのが良い楽しみ方なんじゃないかと思います。

星4つ。