Takanory Blog

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映画「散歩する侵略者」の感想(ネタバレなし)

9月9日公開の映画「散歩する侵略者」を観てきたので、その感想です。予告や公式サイト以上のネタバレなしです。
sanpo-movie.jp

本当は「ワンダーウーマン」を観るつもりで映画館に行きましたが、道中で上映スケジュールを観ているうちに面白そうなSFやんけ!と思って目的変更してみました。ただ、結果的にはワンダーウーマン観とけばよかったかなと……。

あらすじ(公式サイトより)

数日間の行方不明の後、不仲だった夫がまるで別人のようになって帰ってきた。
急に穏やかで優しくなった夫に戸惑う加瀬鳴海。
夫・真治は会社を辞め、毎日散歩に出かけていく。一体何をしているのか…?

その頃、町では一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発する。
ジャーナリストの桜井は取材中、天野という謎の若者に出会い、
二人は事件の鍵を握る女子高校生・立花あきらの行方を探し始める。

やがて町は静かに不穏な世界へと姿を変え、事態は思わぬ方向へと動く。
「地球を侵略しに来た」真治から衝撃の告白を受ける鳴海。

当たり前の日常は、ある日突然終わりを告げる。

地球を侵略しに来た宇宙人。人間を理解するために「概念」を奪い、学習をしているらしい。「概念」を奪われた人間があちこちで現れ、社会は次第に混乱していく。宇宙人の侵略の行方は、人類はどうなってしまうのか…というお話です。

本作の宇宙人は「侵略する前に観察しよう」というお行儀がいい方の宇宙人ですが、人類を理解する方法として「概念を奪う」というのは非常に興味深いです。「化けている」系の宇宙人の「生活に溶け込みながらじっくりと理解」と、「誘拐する」系や「交信する」系の宇宙人の「直接頭の中にアクセス」の合わせ技という感じ。(良い手段かというとそうじゃない気がしますが、ネタバレもしそうなので深くはツッコまない)

また、メタ的には「自分は色々な概念を本当に理解しているのか」「言葉に縛られて本質が見えていないのではないか」ということを考えさせられます。自分が概念を奪われる被害者になったとして、ちゃんと概念を提供できるのか?という(苦笑)。

もう1つの見所は、やはり、人間を理解できていない「宇宙人」ならではの狂気的な言動や行動ですね。役者さんの演技もあいまって、背筋がすぅっと寒くなるような恐怖を感じます。そして、人間を客観的に観察している宇宙人だからこそ気づく、人間の稚拙さや愚かさ、矮小さを突きつけてきます。
このあたりは素敵ですね。SFは気づきを与えるものでなくてはなりません。

と褒めるムードになりましたが、ツッコミどころが多いし、中途半端で集中させてもらえないんですよ。
アクションや爆発になると画面が安い。そんな様子なかったのにいきなり広がる被害。本気が疑われる人類の謎対応。急にどうした松田龍平

テーマとかストーリーが浅く広くで掘り下げられて行かないというのももどかしい。SFやりたいのか、ヒューマンドラマやりたいのか、スリルアクションやりたいのか、コメディやりたいのか、どれやねんと。しかも「まさかオチはこうじゃないだろうな」と中盤で気づいてしまい、「裏切ってくれ!」と願いましたが叶わず。

原作は比較的短編らしいので、うまくぼかしてたところを描きすぎちゃったのかなぁ…?

散歩する侵略者 (ダヴィンチブックス)

散歩する侵略者 (ダヴィンチブックス)

あ、日本政府の初動対応するのがあの省だというのは、ちょっと笑いました。どの省かは映画館で確かめよう!

星2つ。